中国経済の課題

提言・論考

田中修
日本貿易振興機構アジア経済研究所上席主任調査研究員

はじめに

本稿では、中国経済が以前から抱えている構造的アンバランスの問題が、現在どのように改善され、また新たな問題が発生しているのか、並びに国有企業改革、少子高齢化と社会保障整備の問題、新たな発展戦略等を概説する。

１．経済構造のアンバランス

（１）投資と消費のアンバランス

中国では定期的に投資過熱が発生してきた。たとえば、鄧小平の「南巡講話」（1992年）直後に発生した投資過熱、胡錦濤指導部誕生（2012年）直後に発生した投資過熱はその一例である。

投資過熱が繰り返される最大の原因は、地方政府の激烈な発展競争にあり、これは地方指導者の出世競争と密接につながっている。中国の大規模な人事異動は5年に1回であり、中国の中央・地方の幹部人事は党組織部が一元管理している。このため、地方幹部は中央の成長率を上回る成長目標を設定し、これを達成することにより、中央への抜擢、あるいは当該地方での出世を目指してきた。この結果、「政治業績プロジェクト」「イメージ作りプロジェクト」と呼ばれる業績作りのプロジェクトが濫立し、効率の低い「盲目的投資・乱投資」が、人事交代のたびに繰り返されてきたのである。

他方消費は、経済成長に比べ個人所得の伸びが低かったこともあり、経済成長への寄与は低かった。低賃金により安価な商品を生産・輸出して国際市場におけるシェアを拡大し成長する戦略は、結果的に中国の消費拡大を制限することとなった。

さらに、2008年9月のリーマン・ショックをきっかけに打ち出された2008年11月－2010年の大型景気対策は、4兆元の投資追加が目玉となっており、相変わらず政府のインフラ投資と国有企業の設備投資によって、景気の下支えを目指すものであった。このため、投資・消費のアンバランスはこの時期大きく拡大した（表１）。

しかし2012年にいたると、消費のウエイトが恒常的に50％を上回るようになり、成長率に対する寄与率も、2014年から消費が投資を常に上回るようになった。消費が経済成長を牽引するようになったのである。

これは、2010年以降政府が最低賃金の大幅引上げを促進し、個人所得の伸びと労働分配率の向上を図ったことが大きい。また、サービス消費の面でも、Eコマース・宅配便といった新たなサービス分野が普及・拡大したことも消費需要を刺激したと思われる。

今後は、消費需要の多様化・高度化にどう応えるかが課題となろう。現在は人民の多様化・高度化した要望に発展（供給側）の質が追いついていないため、海外で中国人が「爆買い」しているのであり、質とともに、商品の「安心・安全」の重要性が問われている。

（２）第2次・第3次産業のアンバランス

毛沢東時代から、米中対立、その後の中ソ対立を背景に、産業政策は専ら重工業が重視されたが、改革・開放後もその流れは変わらず、中国における第3次産業の育成は大きく出遅れた（表２）。

しかしながら、2012年になると第3次産業のウエイトが第2次産業のウエイトを上回るようになり、15年には50％を超えた。また、成長率への寄与率でも、2013年から第3次産業が第2次産業を上回るようになり、15年には50％を超えている。第3次産業が経済成長を牽引するようになったのである。

この結果、第3次産業には労働集約型企業も多いため、成長率1％当りの雇用吸収力が増大した。現在成長が減速していても雇用が比較的安定しているのは、宅配など新たなサービス業が、鉄鋼・石炭など過剰生産能力産業からリストラされた労働者を吸収しているからである。

他方で、経済が第3次産業中心に移行すると、第3次産業は第2次産業に比べ一般に労働生産性が低いので、経済全体の生産性が低下し、ひいては潜在成長率が低下することになる。今後中国経済が長期に中成長を維持しようとすれば、イノベーションによる生産性の向上がより必要とされるのである。

（３）都市と農村のアンバランス

改革は当初農村を中心に展開され、人民公社の解体、生産の請負制、農産物の自由販売等の一連の改革により、農民の所得は増大した。しかし、工業化・都市化が進むにつれて、90年代後半から都市・農村の所得格差が拡大し、21世紀に入ると格差は3倍を上回るようになった（表３）。

所得格差拡大の原因としては、90年代後半から農業の生産が増大し、一部の農民は豊作により逆に農産物価格が値下がりし、所得が伸び悩む事態が生ずるようになった。それに加え、地方政府が様々な名目で税・費用を徴収したため、農民の可処分所得がさらに減少することとなったのである。しかも、農民は土地があるからという理由で、当初社会保障の対象からはずされていた。この結果、農村社会が不安定化し、2000年頃から農民による集団抗議行動が増加するようになり、しかもその規模が年々大型化したのである。

これに対し、2002年に発足した胡錦濤指導部は、「三農」（農業・農村・農民）問題の解決を、党の政策の「重点中の重点」に据え、農業税・畜産税の廃止、農業への補助金増加、穀物買付価格の引上げ、最低賃金の引上げ、社会保障制度の整備など、都市・農村格差の改善に努めた。この結果、2010年以降、農民の所得の伸びが、都市住民の所得の伸びを上回るようになり、平均的な所得格差はしだいに縮小している。

他方、現在中国経済は、第4次産業革命と言われる、世界経済の大きな変革期に直面している。農業がこれに対応できず、従来型の1次産業にとどまれば、都市・農村の経済格差が再び拡大する可能性がある。習近平指導部はこれに対応すべく、「農業の現代化」・「農村振興戦略」を進めており、これがスローガンにとどまることなく、着実な成果を上げることが農村社会の安定化のカギとなる。

（４）所得格差

都市・農村の平均的な所得格差は縮小しているが、他方で、都市内部、農村内部、さらには都市上位と農村下位の所得格差が拡大を続けている（表４）。

中国は、相続税・贈与税がなく、個人所得税は所得が11に分かれ、税率もバラバラであったため、税による所得再分配機能は限定的であった。しかも、江沢民指導部は所得格差が拡大しても、「先富」政策を続けたのである。

胡錦濤指導部はこれを改め、「共同富裕」政策への転換、「和諧社会」の実現を推進しようとするが、党内で強いリーダーシップを確立することができず、結局、都市・農村格差の拡大に歯止めをかけるにとどまった。江沢民総書記時代に膨大な「既得権益層」が形成され、これが抵抗勢力として改革を阻んだのである。

2017年の第19回党大会は、2035年までに経済格差を顕著に縮小し、21世紀中葉に「共同富裕」を達成する、とした。また、2020年までの3大堅塁攻略戦の1つとして、農村の最貧困層5500万人の脱貧困を目標に掲げ、毎年1000万人の脱貧困を進めている。しかし、5500万人の最貧困層の問題を解決しても、その上には膨大な貧困層が残っている。今後さらに、既得権益層の抵抗を排して、大胆な所得再分配にまで踏み込み、中間所得層を拡大することが課題である。

（５）地域間のアンバランス

鄧小平は、「先富」政策で、まずは貿易に有利な沿海部の発展を優先した。鄧小平の死後も、上海に権力基盤をもつ江沢民・朱鎔基はこの路線を基本的に継続したため、東部のめざましい発展に対し、中西部が落後し、経済格差が拡大した（表５）。

これに対し、胡錦濤指導部は、発足以来、公共投資を中西部に重点的に傾斜していたが、とくに、2008年11月－10年の大型景気対策では、公共投資を中西部に集中させ、高速鉄道・高速道路網の整備を図った。この結果、中西部の都市化が進展し、武漢、長沙、鄭州、重慶、成都、西安などが勃興したため、地域の所得格差は縮小傾向にある。

残る課題は、最も落後した東北地方の振興であるが、2019年に至り、新たに「南北格差」を指摘する声も出ている（２．参照）。

２．国有企業改革

（１）国有企業改革の歩み

1993年に発生した投資過熱とその後の厳しい経済引締めにより、96年頃から国有企業の経営悪化が表面化し、国有企業のコーポレートガバナンスの強化が課題となった。99年の党15期4中全会は、国有企業改革を集中的に議論し、①国有企業からの社会機能（社会保障、住宅、学校、病院等）分離、②国有中小企業の売却容認、③新しい経営メカニズム（株主総会・董事会・監事会）の導入、④国有企業の株式制化・混合所有制化の推進、を決定した。これにより、国有大企業の株式会社化と、国有中小企業の民営化が促進された。

2002年の第16回党大会では、基本経済制度の原則として、「いささかも揺るぐことなく公有制経済を強固に発展させ、いわさかも揺るぐことなく非公有制経済の発展を奨励・支援・誘導しなければならない」とされた。

2004年の憲法改正では、「国家は個人経済、私営経済等非公有制経済が発展することを奨励・支援する」「公民の合法的な私有財産は不可侵である」という規定が盛り込まれ、改革推進の機運が盛り上がった。

しかし同年の後半になると、左派・保守派から「現在の国有企業改革は、国有資産を流出させている」との批判が高まり、改革は停滞に陥った。さらに2008年11月－2010年に発動された大型景気対策は、国有企業に積極的な設備投資を促し、必要な資金が国有企業に集中したため、国有企業は肥大化した。一部の国有企業は民営企業を買収し、この頃から「国進民退」現象が指摘されるようになった。

だが2011年に入り、景気対策の効果が失われるにつれ、国有企業は過剰生産能力問題が深刻化し、経営が急速に悪化していった。国有企業の規模は肥大化したが、自己資本利益率（ROE）や総資産利益率（ROA）は低下し、かえって競争力を失う結果となったのである。

これを受け、2013年党18期3中全会は、国有企業改革を再び加速する旨を決定した。具体的には、経営管理ではなく資本の管理を主として、国有資産の監督管理を強化することとした。また、一部国有資本を切り分けて社会保障基金を充実させることとした。

この決定により、国有企業改革が一気に加速するとみられたが、第13次5ヵ年計画（2016－20年）に国有企業の強大化が盛り込まれると、改革の機運が再び停滞することとなった。しかし、2017年の第19回党大会は、再び国有経済の配置の最適化・構造調整・戦略的再編を加速し、国有企業ではなく国有資本の優良化・強大化を推進し、国有企業改革を深化させ、混合所有制経済を発展させる方針を再確認した。

このように、国有企業改革は前進と停滞を繰り返している。これは、歴代指導部が依然として、「国有経済が後退すれば共産党の支配基盤が弱体化する」という懸念を抱き、国有経済への依存体質を改めていないからであろう。

（２）南北格差と国有企業改革

最近北京では、高成長から中成長への移行に伴い、地域間の経済格差が、これまでの東部・中部・西部・東北地方の格差から、南北格差へと変化したことが話題となっている。この問題を指摘したのは、中国人民大学経済学院の周暁波と陳璋、中国国家発展・改革委員会マクロ経済研究院国土開発・地域経済研究所の王継源である。

彼らによれば、2007－12年の南北GDP成長率は、基本的に一致を維持し、北部の成長率が南部よりやや速かった。しかし、2013－17年に南北の成長率格差は、13年の0.41％から17年の1.4％に拡大した。2013－17年の北部の年平均経済成長率は7.4％、南部は8.5％である。

この南北格差の原因として彼らは、北部は重厚長大型国有企業が主体で市場化改革と経済の構造転換・イノベーションが遅れ、南部は民営企業主体で経済の市場化・サービス化とイノベーションが進展したことを指摘している。

中国全体の潜在成長率を高めるためにも、今後北部において、国有企業改革・市場化改革と民営企業の発展支援を積極的に進めることが課題である。

３．社会保障

（１）急速な人口の少子・高齢化

日本と異なり、中国では社会保障制度が未だ整備途上のうちに高成長が終了してしまった。他方で中国社会の高齢化のスピードは速く、1990年に65歳以上の人口は総人口の5.6％に過ぎなかったが、2000年には7％に達し（高齢化社会）、2018年には11.9％に達した。今後中国が高齢社会（14％）に達するのは、2025年頃、超高齢社会（21％）に突入するのは2038年頃とみられている。

他方、長く続いた「一人っ子政策」により、中国の15～64歳人口は2013年をピークに減少を続けており、これが中国の潜在成長率を引き下げる要因となっている。2016年から中国は「全面的な二人っ子政策」を実施したが、出生人口の減少に歯止めはかかっていない。

つまり、中国は「共同富裕」を実現する前に高齢社会を迎えることになり、中国経済社会の最大の問題は、「未富到老」（豊かになる前に老いる）とされている。

（２）年金制度の整備

中国の年金制度は、1990年代後半から本格整備された。朱鎔基総理の国有企業改革の一環として、国有企業から社会保障制度が分離されたのである。1997年に都市従業員基本年金保険が整備され、2011年に都市戸籍の非就労者を対象とした都市住民社会年金保険が設立された。これに対し、農村では1992年から新型農村社会年金保険が導入されていたが、農民は土地があるという理由で国庫補助はなく、2009年になってからようやく国庫負担が開始された。2014年には、都市住民社会年金保険と新型農村社会年金保険を統合して、都市・農村住民基本年金保険が設立され、年金保険制度は2つに集約された。

今後は、省ごとにバラバラになっている制度の運用を統一するとともに、2種類の年金制度を統合し、全国統一の基礎年金を確立することが課題であるが、すでに東北3省などは年金財政収支が赤字化しており、財源が豊かな省の反発もあり、統一作業は進展していない。

（３）年金の財源問題

また年金財源の面では、現在のままでいけば、2020年代後半には比較的人口の多い文革世代が年金受給年齢に達し、年金財政は急速に悪化するとみられている。他方で、習近平指導部はサプライサイド構造改革の一環として企業のコスト引下げを掲げ、社会保険料を引き下げるとしてきた。2019年5月には、都市従業員基本年金保険の保険料が、原則20％から16％に引き下げられた。

しかし、これが年金財政の持続可能性に及ぼす影響については、明らかにされていない。政府は財源として、国有企業株の一部を年金基金に繰り入れるとしているが、年金の長期財政計算について、収支見通し及び不足分の財源として何を（税・保険料・国有企業株売却収入）どれだけ投入するのか、国民に明確な試算をはっきり示す必要がある。

また、年金のみならず、中国が2030年代後半に超高齢社会を迎えれば、老人医療・介護の費用が大きく膨らむことになる。公的保険でどの範囲までカバーし、民間保険でどの部分を補完させるか、また家族・コミュニティの役割をどう位置づけるか、早急に制度設計を進め、持続可能な社会保障制度を構築することが課題である。

４．2035年までの発展戦略

2017年の第19回党大会は、2035年までに現代化された経済システムを完成させなければならないとしたが、この現代化された経済システムの具体的中身については、2018年1月30日に開催された党中央政治局集団学習会において、習近平総書記が明らかにした。

それによれば、「現代化した経済システムは、社会・経済活動の各部分・各レベル・各分野の相互関係・内在的連係によって構成される、１つの有機的総合体である」とし、以下の7つのシステムを全体として統一し、一体的に建設・推進しなければならない、とした。

（１）イノベーションがリードし、協同発展する産業システム

実体経済、科学技術イノベーション、現代金融、人材資源の協同発展が目標であり、そのためには、実体経済の発展における科学技術イノベーションの寄与率の向上、現代金融が実体経済にサービスする能力の増強、実体経済の発展を支える人材資源の役割の最適化が必要とされる。

（２）統一・開放され、競争が秩序立った市場システム

市場への参入がスムーズで、市場の開放が秩序立ち、市場の競争が十分で、市場の秩序が規範化されていることが目標であり、そのためには、企業が自主的に経営し公平に競争し、消費者が自由に選択し自主的に消費し、商品・生産要素が自由に流動し平等に交換される現代市場システムの形成加速が必要とされる。

（３）効率を体現し、公平を促進する所得分配システム

所得分配が合理的で、社会が公平で正義があり、全人民が共同富裕であることが目標であり、そのためには、基本公共サービスの均等化推進、所得分配格差の段階的縮小が必要とされる。

（４）優位性が顕著で、協調して連動する都市・農村と地域の発展システム

地域の良性の相互作用、都市・農村の融合した発展、陸・海の統一された全体としての最適化が目標であり、そのためには、地域の比較優位性の育成・発揮、地域の優位性の相互補完の強化、地域が協調発展する新たな構造の形成が必要とされる。

（５）資源が節約され、環境に友好的なグリーン発展システム

グリーン・循環・低炭素の発展、人と自然の調和のとれた共生が目標であり、そのためには、「緑の水・青い山こそが金山・銀山である」という理念の樹立・実践、人と自然が調和がとれて発展する現代化建設の新たな枠組みの形成が必要とされる。

（６）多元化しバランスが取れ、安全で効率が高い全面的な開放システム

よりハイレベルの開放型経済の発展、構造の最適化・深層レベルでの展開・効率向上への方向転換に向けた開放の推進が必要とされる。

（７）市場の役割が十分発揮され、政府の役割がより好く発揮された経済体制

市場メカニズムが有効で、ミクロ主体に活力があり、マクロ・コントロールが適度であることが目標とされる。

これを見ると、習近平指導部が中国経済の持続的発展に必要な経済システムと、これを構築するための政策を的確に認識していることが分かる。しかし、課題は実践力・実現力である。胡錦濤指導部も発足当初は高い目標を掲げていたが、結果的に抵抗勢力の妨害に遭い、実現はかなわなかった。

おわりに

では、これから中国経済はどのような道を歩むのであろうか。足元の中国経済は潜在成長率の低下と米中経済摩擦の激化による景気下降が重なり、厳しい局面を迎えている。

中国の将来は単純に占えるものではないが、中国が「中等所得国の罠」を乗り越え現代化を実現し、さらに21世紀中葉に米国と並ぶ超大国となるには、少なくとも次の条件が必要であろう。

米中経済摩擦という外圧をテコとして、国有企業改革・規制緩和・市場環境の改善を加速し、より徹底した市場化改革と開放政策を推し進めること。
2020年代後半に文革時代の団塊の世代が年金受給者となる前に、持続可能な社会保障制度を構築すること。
所得分配改革を断行し、個人所得税の改革を進め、不動産税・相続税・贈与税の導入と低所得層のボトムアップを図り、安定した中間所得層を形成すること。
国家主権の擁護・領土の保全のためには戦争を辞さないという、19世紀的国民国家観を乗り越え、米国及び東アジア諸国との安定した平和協力関係を維持すること。
国際政治・経済、地球環境の将来像について高い理想を掲げ、それを自ら率先することにより、「畏怖される国家」から「尊敬される国家」に変貌をとげること。

これらの条件を満たすには、指導者の強いリーダーシップと見識が必要となる。現在、習近平総書記は自身に権力を集中させ、その条件を満たしつつあるようにみえるが、問題は権力の使い道である。これが改革・開放の推進のために用いられるのであれば、中国の将来には希望があるが、権力の濫用に陥り、改革・開放が大きく停滞すれば、米国との対立は決定的となり、国内においても民衆の不満が高まり、共産党政権の終焉は意外と早く訪れるかもしれない。

いずれにせよ、中国社会の労働人口の減少、高齢化のスピードからみて、残された時間は少なく、日本としては、習近平政権第Ⅱ期の政策動向を注意深く観察し、必要があれば中国指導部に対し大胆に提言・協力を行っていく必要がある。

（参考文献）

周暁波・陳璋・王継源「中国南北経済分化の現状、原因と対策―重視する必要のある新たな趨勢」（『河北経貿大学学報』第40巻第3期、2019年5月）
田中修「経済改革の現状と課題」（霞山会『東亜』2019年2月号所収）
田中修「経済改革40年の成果と課題」（日本国際問題研究所「国際問題」2019年10月号所収）

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