提言・論考
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北朝鮮および中国の核使用シナリオ
―安全保障コミュニティにおける議論のたたき台として―

道下徳成

本稿は、北朝鮮および中国が核兵器を実際に使用する状況についての主要なシナリオを洗い出し、それぞれについて、目的、手段、場所、攻撃目標、被害、限界および逆効果を検討するものである 1。シナリオの内容および目的や手段などについての記述は、すべて筆者が自身の知識や知見に基づいて独自に作成したものであり、特定のエビデンスに基づくものではない。従って、その内容について批判や異論が出るであろうことは容易に想定できる。

しかし、本稿の目的は、北朝鮮および中国の核使用シナリオと評価について日本をはじめとする関係各国の安全保障コミュニティにおける一定のコンセンサスを形成するためのたたき台を提供することである。このため、批判や異論を含め、本稿を利用して議論が活発化すれば、本稿の目的は十分達成されることになる。本稿をたたき台として議論が深まり、北朝鮮および中国の核使用シナリオと評価について一定のコンセンサスが形成されれば、それを基礎として、日本、米国、韓国をはじめとする地域諸国や国際社会が、今後、北朝鮮や中国の核問題にどのように対処していくべきかを具体的に議論することができるようになるであろう。

なお、それぞれのシナリオについて蓋然性を示してあるが、その定義は「今後、20年程度の間にシナリオで示したような核使用が行われる蓋然性」であり、これも筆者の判断に基づく数値である。各シナリオの蓋然性を正確に算定できるわけではないことは当然のことではあるが、各シナリオの発生確率や、複数のシナリオの相対的な発生確率について筆者の考えを明確に示すことによって、より具体的な議論が交わされるようになること目的として、このような記述を行った。

2022年にウクライナ戦争が発生し、プーチン大統領が核使用の可能性に言及したのをきっかけに、米国の安全保障専門家の間でも、中台紛争時の中国による核使用の可能性が真剣に議論されるようになりつつある。しかし、米国で論じられるシナリオの多くは中国が米国に対して核を使用するというものである。例えば、ステーシー・ペティジョンとベッカ・ワッサーは2022年5月の論文で、中国が米国の中台紛争への介入を阻止することを目的に、ハワイ沖で威嚇のために核兵器を爆発させるというシナリオを提示している 2。また、ペティジョンとハナ・デニスが中心となって新アメリカ安全保障センターが2022年の夏に実施したウォーゲームでは、中国が自国の領域内で大気圏内核実験を行い、さらにはグアムの米軍基地を低出力の核兵器で攻撃した。大気圏内核実験は米国に脅威を与えるとともに、核による脅迫の信憑性を高めることを目的としていた。また、グアムへの攻撃は、米国が中国本土に攻撃を加えたことに対する報復と、米国に台湾防衛から手を引かせることを目的としていた 3。

しかし、現実に北朝鮮や中国が核兵器を他国に使用するとしたら、それは核を保有していない韓国や日本、そして台湾に対するものになる可能性の方が高いのではないだろうか。この点について、本稿に示されているシナリオでは、北朝鮮も中国も米国への核使用は回避している。いずれにせよ、各国の専門家がそれぞれの視点から様々な核使用のシナリオを示し、その形態、蓋然性、そして、それに対する対応策について議論するのは極めて有益であろう。

本稿は、まず北朝鮮の核兵器および投射手段の現状を概観した上で、北朝鮮が核兵器を使用する5つのシナリオをリストアップし、その評価を行う。次に同様の作業を中国の核使用に関する3つのシナリオについて行う。これらのシナリオが、今後の有益な議論の基礎になれば幸いである。

１ 北朝鮮

（１）核兵器および投射手段

北朝鮮の核兵器保有数について、科学・国際安全保障研究所（ISIS）は2022年12月の時点で35～63発、ストックホルム国際平和研究所（SIPRI）は2022年1月の時点で45～55個とそれぞれ推定している 4。北朝鮮は2006年に初の起爆実験を行ってから、2017年までの12年間に計6回の核実験を実施し、出力も1回目の1キロトン以下から、6回目の約160キロトンまで着実に向上させてきた 5。

次に、北朝鮮は700～1000発の弾道ミサイルを保有し、うち45％が短距離のスカッド級、45％が準中距離のノドン級、残り10％が中・長距離のものであると推定されている 6。また、多くのミサイルが移動式発射台（TEL）に搭載して運用されるようになっており、北朝鮮はスカッド用のTELを最大100両、ノドン用のものを最大100両、ムスダン用のものを最大50両保有しているとみられる 7。また、北朝鮮は2023年3月、ヘイル（津波）1（潜行距離600キロメートル）とヘイル2（潜行距離1000キロメートル）と呼ばれる核無人水中攻撃艇を開発中であることを明らかにした 8。

（２）核兵器使用シナリオ

①実証試験と瀬戸際外交（蓋然性：40％）

シナリオ：

北朝鮮が技術の実証試験と瀬戸際外交を兼ねて、平時に核兵器1発を海中で爆発させる 9。また、太平洋上で核兵器1発を空中爆発させる。

目的：

核無人水中攻撃艇や核搭載ミサイルの技術と効果を確認し、問題があった場合は修正を加える。

交渉カードとしての核兵器の価値を高め、米朝協議の再開に備え、あるいは再開を促進する（北朝鮮はすでに地下核実験を6回行っているため、同様の実験を行っても効果が限定的であるため）

韓国をはじめとする各国の潜水艦が北朝鮮近海で行動しにくくする。

手段：

開発中とされる核無人水中攻撃艇

核兵器を搭載した中距離弾道ミサイル

場所：

日本海の北朝鮮領海内（領海内であれば、正当な主権行使であると主張できる。万が一、外国の潜水艦や艦艇に被害が出ても非難されにくい。中国に配慮し、黄海では実施しない。）

島嶼や海上交通がない太平洋の上空

（参考）2017年9月、金正恩が米国に対して「超強硬対応措置」をとる可能性に言及し、これについて李容浩外相が「超強硬対応措置」とは「太平洋上での水爆実験」を意味する可能性があると述べた。

攻撃目標：

なし

被害：

放射線による汚染および環境破壊 10

韓国などの潜水艦が被害を受ける可能性

限界および逆効果：

日米両国が弾道ミサイルを撃墜する可能性

米朝協議が一層困難になる

中朝関係の悪化

国連などによる追加制裁（すでに北朝鮮は十分孤立しているため、あまり効果は高くない。また、ロシアや中国が制裁決議案に拒否権を行使する可能性も十分ある。）

②韓国に対する攻撃（蓋然性：20％）

シナリオ：

北朝鮮が韓国に対して砲撃、ロケット攻撃、ミサイル攻撃などの重大な軍事行動をとった結果、南北間で限定的あるいは本格的な交戦が発生する。北朝鮮は「韓国が北朝鮮に報復したり、事態をエスカレートさせたりする場合には、戦争拡大を防ぐため核兵器を使用する」などの脅迫を行い、韓国に泣き寝入りすることを迫る。それにもかかわらず韓国が強力な軍事的対応をとった場合、北朝鮮は韓国東岸の日本海の海中で、あるいは海上で核兵器を爆発させつつ、停戦を提案する。

目的：

南北の競争において優位に立ち、主導権を握る（双方が同程度の火砲やロケット砲などを撃ち合った場合、失うものの多い韓国の方が、資本逃避の発生などにより、相対的に大きい損失を被ることになる。）

韓国の保守政権に、対北強硬策は悲劇的な結果をもたらすという教訓を与える。

手段：

核無人水中攻撃艇

機動する短距離弾道ミサイル（KN-23など）に搭載した低出力の核兵器（迎撃されないようにするため）

場所：

日本海の海中や海上

攻撃目標：

なし。デモンストレーションのみ

被害：

放射線による汚染および環境破壊

韓国などの潜水艦が被害を受ける可能性

限界および逆効果：

日米両国が弾道ミサイルを撃墜する可能性

状況がエスカレートしたり、北朝鮮国内で混乱が発生したりする可能性

米国が拡大核抑止力を強化する。

韓国や日本の軍事力強化や核武装論の台頭

③中台紛争発生時における第二戦線の形成

（中台紛争発生を前提とした蓋然性：10％）

シナリオ：

台湾海峡で紛争が発生し、日米の戦力が南方に展開されるなか、中国が北朝鮮に全面的な軍事・外交上の支援を約束しつつ、韓国への限定的ではあるが継続的な攻撃を要請する。これを受けて、北朝鮮は韓国に対して砲撃、ロケット攻撃、ミサイル攻撃などの、限定的ではあるが継続的な軍事行動をとる。米韓両国は事態のエスカレーションを恐れ、限定的な形でのみ北朝鮮に報復攻撃を実施する。しかし、交戦が続く中、韓国では、より強力な報復が必要であるとの意見が高まる。これに対し、北朝鮮は「韓国が事態をエスカレートさせる場合には、戦争拡大を防ぐため核兵器を使用する」などの脅迫を行う。それにもかかわらず韓国が北朝鮮に対して強力な攻勢作戦を実施した場合、北朝鮮は韓国東岸の日本海の海中で、あるいは海上で核兵器を爆発させ、韓国に攻撃の中止を迫る。（本シナリオでは、北朝鮮は中国の後ろ盾を得て武力行使を行っており、また、米国や日本は中台紛争に対応するため、朝鮮半島におけるエスカレーションを回避しようとするため、北朝鮮が核兵器を使わざるを得ない状況になる蓋然性は高くない。）

目的：

中台紛争を利用して南北の競争で優位に立つ。

日米両国の戦力を朝鮮半島と台湾海峡に分散させることによって中国を支援する。

中国による日米両国に対する核恫喝の効果を高める。

中国が台湾を武力統一し、地域の覇権を確立するなか、その同盟国として有利な地位を占める。

手段：

核無人水中攻撃艇

機動する短距離弾道ミサイル

場所：

日本海の海中や海上

攻撃目標：

なし。デモンストレーションのみ

被害：

放射線による汚染および環境破壊

韓国などの潜水艦が被害を受ける可能性

限界および逆効果：

日米両国が弾道ミサイルを撃墜する可能性

朝鮮半島で状況がエスカレートしたり、北朝鮮国内で混乱が発生したりする可能性がある。

中国が台湾統一に失敗し、政府・国家が弱体化し、国際的にも孤立した場合、北朝鮮も厳しい立場におかれる。最悪の場合、北朝鮮の体制崩壊につながる。

④韓国主導の朝鮮半島統一の阻止（蓋然性：5％）

シナリオ：

北朝鮮の政治・経済・社会が不安定化した際に、韓国が自軍を北朝鮮に進駐させようとする。これに対して北朝鮮が韓国軍に核兵器を使用し、北進を物理的に阻止する。（しかし、そもそも韓国国民の多くは統一を望んでおらず、北朝鮮の核使用のリスクがある中で敢えて北朝鮮地域を軍事的に占領しようとする可能性は高くないため、本シナリオの蓋然性は低いと見積もられる。）

目的：

韓国による朝鮮半島統一を阻止

朝鮮半島の分断を維持し、北朝鮮体制を守る。

手段：

機動する短距離弾道ミサイル

場所：

非武装地帯（DMZ）など

攻撃目標：

韓国軍

被害：

韓国軍の甚大な被害と双方への付随被害

限界および逆効果：

日米両国が弾道ミサイルを撃墜する可能性

米韓両軍の反撃による韓国主導の武力統一

⑤自暴自棄、道連れ自殺（蓋然性：3％）

シナリオ：

金正恩が宮廷革命や軍の反乱などでによって政権崩壊の危機に直面し、自暴自棄になって周辺国を道連れにして自殺的な核使用に踏み切る。韓国、日本、米国などに対する全面的な核攻撃を実施する。（しかし、金正恩が自暴自棄になる状況というのは、すでに実質的な統制能力を失っていることを意味するため、このシナリオの蓋然性は極めて低い。）

目的：

周辺国の破壊（韓国に対しては体制競争に敗れたことへの意趣返し。日本に対しては植民地化への報復。米国に対しては「敵視政策」への復讐）

手段：

保有するすべての核戦力

場所：

韓国、日本、米国

攻撃目標：

韓国、日本、米国の主要都市

被害：

甚大な人的・物的被害

期待される効果：

北朝鮮指導者の自己満足

限界および逆効果：

韓国と米国が3軸体系やTHAAD、米国の核使用を含む攻撃・防衛能力で北朝鮮の核攻撃による被害を最小限に食い止めることに成功する。日本もミサイル防衛や、場合によっては攻撃作戦を実施。日米韓3カ国は市民防衛措置も用いて被害を最小化する。これを機会に韓国が全面反攻し、朝鮮半島を統一する。

２ 中国

（１）核兵器および投射手段

2021年の時点で中国は実戦配備された核弾頭を400発以上保有しており、現在の核兵器製造ペースを維持した場合、2035年までに約1500発の核弾頭を保有することになると推定される 11。また、中国は射程300～1000キロメートルの短距離弾道ミサイルを600発以上、射程1000～3000キロメートルの中距離弾道ミサイルを500発以上、射程3000～5500キロメートルの中距離弾道ミサイルを250発以上配備している。また、射程5500メートル以上の大陸間弾道ミサイル300発、射程1500メートル以上の地上発射型巡航ミサイル300発以上を保有している 12。2021年、中国は実験および訓練のために135発の弾道ミサイルを発射したとみられ、これは紛争地域で発射されたものを除くと、同年に中国以外で発射されたミサイルの総数を上回るものであった 13。

中国はインド太平洋戦域での使用を想定した核兵器を約60発保有していると推定されており、その投射手段としては、DF-21AおよびDF-21E弾道ミサイル（射程2100キロメートル以上。移動式発射台40両）、DF-26弾道ミサイル（射程4000キロメートル。移動式発射台200両、うち約20両が核兵器用と推定。対艦バージョンも存在）、DF-17滑空型極超音速ミサイル（射程1800キロメートル以上。移動式発射台16両以上）がある。なお、DF-15（射程600キロメートル）も核運用能力をもっていると考えられるが、実際には核兵器の運用を行っていない模様である。そして、中国の巡航ミサイルも核兵器搭載可能である可能性は排除できないものの、本格的な核運用は行われていないとみられる。また、中国空軍は能力の高い投射手段を保有していないため、その核任務は極めて限られたものとなっており、約20発の自由落下型の核兵器を保有しているのみである 14。

（２）核兵器使用シナリオ

①日本および米国の中立化（中台紛争発生を前提とした蓋然性：50％）

シナリオ：

中国が台湾を攻撃する際、米国や日本に軍事介入しないように強く警告し、核兵器を海上で爆発させる。それでも日米両国が台湾への支援を続けた場合は、海上自衛隊の水上艦艇を戦術核で攻撃する。最初は比較的小型の艦艇を攻撃するが、それでも日米の介入が継続する場合は大型艦艇を攻撃する。そのうえで、「米国が核報復を行った場合は、日本の艦艇や南西諸島にさらなる核攻撃を行う」ことを宣言し、米国が核兵器によって中国の水上艦艇に報復攻撃を行った場合は、日本に対して、さらなる核攻撃をかける。これにより、日本が米国に対してさらなる核報復を実施しないよう働きかけることを期待する。なお、米国に対して核兵器を使用することは避ける。また、水上艦艇を核兵器で攻撃するのが技術的に難しいと判断した場合は、南西諸島に配備された自衛隊の対艦ミサイル部隊に核攻撃を行う。特に、民間人が待避を終えたあとであれば、付随被害を限定できるので、中国にとっての政治的敷居も低くなる。

目的：

日本の中立化（日本が米国に在日米軍基地を提供したり、自衛隊による米軍への支援を提供できなくする。米国を中立化できない場合でも、日本が米軍に基地を提供したり、自衛隊による支援をしたりしなければ、中国にとっては極めて有利）

米国が空母などの大型艦艇を台湾近くに配備しにくくする。

可能であれば米国も中立化

手段：

DF-21A/E弾道ミサイル（空中爆発および南西諸島攻撃）

DF-26弾道ミサイル（対艦攻撃能力あり）

（DF-17極超音速滑空ミサイル。性能や用途に不明な点が多い）

場所：

第1列島線以東の西太平洋海上

南西諸島

攻撃目標：

当初はデモンストレーションのみ（ミサイル防衛能力の高い水上艦艇が展開していない海域）

海上自衛隊の水上艦艇

陸上自衛隊の対艦ミサイル部隊

被害：

海上自衛隊艦艇 乗員100人程度（小型）、500人程度（大型）

陸上自衛隊隊員 約570人（石垣駐屯地）、約700人（宮古島）

民間人の被害は少数

限界および逆効果：

日米両国が弾道ミサイルを撃墜する可能性。その場合、中国の脅迫の効果が著しく低下する。

中国の核ミサイルが迎撃されなかった場合でも、圧倒的に優勢な核戦力をもつ米国が中国の核使用を少しずつ上回る形（エスカレーション・ドミナンス）で核兵器を使用した場合、次第に中国が不利な立場に立たされる。

②勝利のための核使用（中台紛争発生を前提とした蓋然性：30％）

シナリオ：

中国軍が上陸を想定する台湾沿岸の複数の地域に対して戦術核を使用し、台湾の防御システムなどを面として制圧する。また、海上や陸上にある台湾や日本の重要軍事アセットに対して核攻撃を行う。（米国のアセットに対しては核は使用しない。）台湾が核攻撃されても、米国が中国本土に核報復を行うのは敷居が高い。また、中国は台湾や日本の水上艦艇に核を使用する際、「米国が核報復を行った場合は、台湾や日本の艦艇にさらなる核攻撃を行う」ことを宣言する。これにより、台湾や日本が米国に対して核報復を実施しないよう働きかけることを期待する。米中双方が核を使用した場合、米国や西側社会では世論が分裂する可能性が高いが、中国ではそれほど大きい政治的問題は発生しない。（むしろ、米国に続く核使用国となることは、中国が覇権国になるうえで重要な象徴的出来事として位置づけられる可能性がある。）なお、中国が戦術的に核兵器を使用する場合、米国、日本、台湾による中国本土への攻撃や米国や日本による「内政干渉」を口実として使用する。

目的：

台湾の防御能力の破壊

台湾上陸作戦における中国軍の消耗を最小化

日本の交戦能力と継戦意欲の低下

手段：

DF-21A/E弾道ミサイル（地上目標）

DF-26弾道ミサイル（対艦攻撃能力あり）

（DF-17極超音速滑空ミサイル）

場所：

西太平洋海上

台湾および日本の領土

攻撃目標：

台湾および日本の軍事アセット

被害：

台湾の沿岸防衛部隊、主要港湾など。軍人に多数の死傷者。民間人にも一定の付随被害

海上自衛隊艦艇 乗員100人程度（小型）、500人程度（大型）

陸上自衛隊隊員 約570人（石垣駐屯地）、約700人（宮古島）

限界および逆効果：

日米の防空・弾道ミサイル防衛能力によって中国のミサイルが迎撃される。

中国軍の上陸部隊などに米国が核兵器を使用する。

③名誉の撤退（中台戦争で中国の敗北が確実になった場合の蓋然性：20％）

シナリオ：

台湾侵攻に失敗した中国の指導者がメンツを保ちつつ戦争を終結させるため、「分離主義者を懲罰し、教訓を与える」という名目で一般住民の少ない地域に位置する台湾軍の重要拠点に1発の核攻撃を加える。そのうえで直ちに停戦を宣言し、「米国の覇権主義者、日本の軍国主義者、そして台湾の分離主義者が祖国統一を妨害した」ことを台湾統一失敗の理由として挙げつつ撤退

目的：

中国指導部がメンツを失わない形で台湾侵攻の失敗を受け入れ、戦争を終結させる

周辺諸国に「中国に逆らったら恐ろしい結果を招く」という教訓を与え、守勢に立たせる。

中国共産党および中国人民解放軍の指導者たちを「核使用」という非人道的行為の共犯者に仕立てることで、最高指導者を裏切ることができなくする。

手段：

DF-21A/E弾道ミサイル

DF-26弾道ミサイル

（DF-17極超音速滑空ミサイル）

場所：

台湾

攻撃目標：

台湾軍の重要拠点

被害：

軍事施設破壊と軍人の死傷者

限界および逆効果：

日米の防空・弾道ミサイル防衛能力によって中国のミサイルが迎撃される。

中国が国際社会で孤立する。但し、経済上の相互依存や、中国を追い詰めるのは危険でもあるとの認識もあるため、完全に孤立することにはならない。

台湾の民心は一層中国から離れ、統一を望む声は、ほぼ消滅する。

（政策研究大学院大学 理事・副学長・教授）

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